作業療法はハイブリッドな領域である



作業療法は哲学者の設計思想をベースに、建築士、芸術家、教師、医師、看護師、ソーシャルワーカーたちのコラボで誕生した領域です。

これは明確な歴史的事実であり、現代作業療法にもさまざまなかたちで影響を与えています。

例えば、作業療法ではいまでも革細工、陶芸、木工、絵画などの芸術が用いられます。

これは、作業療法の成立に芸術家が関与した名残です。

また現代作業療法は、医療と福祉の両方の特徴をあわせもっていますが、これは医療職と福祉職がその成立にあたって非常に重要な貢献をはたしたことにつながります。

多くの作業療法士は「作業療法は難しい」というと同時に「とても面白い」といいますが、それは作業療法がハイブリッドな領域だからではないかと感じています。




ハイブリッドな領域は、いろんな専門性に対して開かれた態度を要求します。

閉じた感度だと、作業療法に内在する哲学と医学と芸術と教育と福祉のそれぞれの特徴を受けとれないからです。

当然これは、作業療法士に認知的負荷をかけます。

ひとつひとつの領域は非常に豊かですし、混ぜ合わせることによって生じる独特な性質もまた複雑で深いものになるからです。

同時にそれは面白さにつながります。

作業療法は、さまざまな領域のエッセンスが混じっているので、好奇心がどんどん刺激されるうえになかなか満たされないからです。

これは遊びの条件でもあり、作業療法を探求すると面白さが増してくるのです。

こういった事情が、日本に作業療法が導入される時期に共有されていれば、今とはかなり違った展開になっていただろうと思います。