理論が変われば実践も変わる



学生たちとのやりとりで時々話題になるのは、同一の出来事でも作業療法士によっては180度違う解釈を行うことがある、というものです。

学生たちはそれがとても不思議で、臨床の奥深さに想いはせるとともに、そうした事態をどう受け止めたらいいのかわからず混乱しているところもあるようでした。

作業療法において、同一の出来事に対してまったく異なる解釈が成立する、という事態は、いかなる条件によって起こりうるのでしょうか?

感性が違う、経験が違う、現場の文化が違う、出身校が違う、同一の出来事というのがそもそも錯覚である、先生同士の仲が悪い(笑)、等々、いろいろあるでしょうが、プロフェッショナルとして理解しておかないといけないことは、理論の違いが実践の解釈がかわるということです。


たとえば、クライエント-作業療法士の関係は、○○理論では依存関係を問題視しようとするのに対して、別の□□理論ではそれは特に問題視せず協業関係としてポジティブに捉えようとします。

また、問題の所在については、○○理論では過去に原因があると考えようとするのに対して、別の□□理論や△△理論では現在にこそ原因があると考えようとします。

つまり、関係性の理解、問題の所在等々が、理論によってまったく異なることが起こりえるわけです。

解釈が変われば、介入ストラテジーも変わりますから、実は理論の違いによって規定される解釈の違いはかなり本質的な問題です。

学内の講義でもこうしたことは強調して伝えるのですが、実際に現場でいろいろ体験してみるまでは身体感覚で理解できないため、学生にはいまいち腑に落ちないところがあるようです。

学生にとって実習が、手技に加えて実践そのものの方向性すら変えてしまう理論の存在を理解できるきっかけになればよいなぁと思います。

※上記の○○、□□、△△には何が入るでしょうか?それぞれで考えてみてください(笑)。