作業療法的未来観!?



作業療法士になって学んだことのひとつは「未来はわからない」ってことです。

作業療法士は患者さんとともにライフプランを立てて,生活体験の質が少しでもよくなるように働きかけていくのですが,最初に立てたライフプラン通りに物事が展開することはまずありません。

たいてい修正が必要ですし,ときに最初に立てたものとは異なるライフプランを設計しなおすこともあります。

ライフプランを立てるにあたって作業療法士は綿密な評価を実施します。

評価の内容は,患者さんの心身障害はどうなっているのか,生活環境はどうか,心身障害と生活環境は患者さんの暮らしにどのような影響を与えているのか,などです。

それはもう恐ろしいぐらい考えぬきます。

そのうえで,ライフプランを立てるのです。

がしかし,それの変更が日常的に求められるわけです。


ライフスタイルの質を高める専門家が,必死こいて評価したうえで立てたプランなのに,です。



そういう経験を積むと,「未来はわからない」というテーゼが身にしみて理解できるようになります。


先々のことは決まっていると前提にできない,というところから考えはじめることが日課になるわけです。

で,何が言いたいのかというと,研究室にかかってくるマンション購入の電話です。

数十年のローンを組むことが前提でお勧めされるのですが,それで生計が成立するためには,今後一度も失業することなく年収が増え続けること,大病によって収入が途絶えるような事態が起こらないこと,子供が順調に成長して無事に独立してくれること,災害等によって購入したマンションがなくならないこと,等の諸条件が必要です。

つまり,未来が明るくなることが大前提です。

しかし,僕は作業療法を通じて「未来はわからない」ことだけは,わかっています。

人生に変化はつきものですが,それは必ずしも改善を意味しないのです。

もちろん人生にリスクはつきものですが,飛ぶ鳥の献立を立てまくらなければ克服できないリスクを背負いこむのは,やはり無謀すぎます。

つまり,ぼくのような人にとって,数十年もローンを組んで家を購入するのは,分不相応なわけです。

というわけで,ぼくは何十年後の明るい未来が予想通り到来することが前提の大きなローンは組まないので,あしからず(買えるぐらい高給とりなら別ですけど)。